
まず特筆すべきところはEPS(1株当たりの純利益)がマイナスの状態での上場ということです。これはバイオベンチャーと同じくこれからの成長に対する期待値が大きいことの裏返しです。普通利益が出ていない企業に投資しても回収できないので投資家は株を買いません。それでも上場するということは現在の経営状態を上回る魅力があると考えているからです。またこういう株に限って信じられない値がついたりします。
最近にPERがマイナスの状態で上場したIPO株の公募価格と初値を見ていきます。
ジーンテクノサイエンス 1200円 1550円 約15億円
UMNファーマ 1300円 1196円 約63億円
メドレックス 1000円 2200円 約21.4億円
リプロセル 3200円 17800円 約38.3億円
オンコリスバイオファーマ 2600円 3500円 約61.8億円
(注)96ut.comを参照
純利益がマイナスの状態で上場する企業の殆どがバイオベンチャーです。現在の状態より新薬の開発による爆発的な伸びが期待されているからです。ただ、市場への吸収金額と初値の伸びをみると吸収金額が大きいとあまり好ましく思われないようです。規模が小さい方が希少価値が高まるからでしょう。UMNファーマは公開規模を大きくし過ぎたあまりに公募価格割れを起こしました。

CYBERDYNEの市場への吸収金額は総計約61億円です。UMNファーマとオンコリスバイオファーマと同じくらいです。これらの企業と売上を比較すると、
![]() 4585UMNファーマ | ![]() 4588オンコリスバイオファーマ |
安定していませんが、データに示されている2年間の平均をとるとUMNファーマは約10億円、オンコリスバイオファーマは約5億円です。一方CYBERDYNEの最近の3年間の売上の平均は約3億円で規模が上記の企業より小さいです。伸び率もCYBERDYNEはここ3年間で約3億円で止まっています。
以上のことを考えると、CYBERDYNEの初値はあまり伸びないような気がします。オンコリスバイオファーマとUMNファーマを参考にすると、CYBERDYNEの初値は良くて2700(想定発行価格)×(3500÷2600)≒3650円、最悪だと10%程度の公募価格割れを起こすかもしれません
ただバイオ企業と違い、CYBERDYNEの売上は安定しており、またこれからの超高齢化社会で介護事業に対する人工型ロボットの需要を考えると十分将来の成長を見込める分野だと思います。なのでどっちかというと公募価格と初値の値幅を取るためではなく、長期保有で持った方が儲かるような気がします。たとえ抽選で購入できなかったとしても上場してから市場で買っても遅くはないと思います。
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